恋、物語り




受信メールのフォルダには
小林 啓介 の文字が記されていた。

また心臓が波を打つ。
ドキン、ドキン、と…痛いくらいに。


カチっと音を立ててメールを開いた。



[こんばんは。小林です。
今日は突然ごめんね。
でも、話を聞いてくれてありがとう。

突然だけど、立花さんじゃなくて
下の名前で呼んでいいかな?
…迷惑じゃなかったら]


ドキドキしすぎて倒れてしまいそうだった。
好きという感情と言われたら
違うと答えられる。

異性から好意を持たれたことがなかったから
すごくすごくドキドキする。


初夏の風が部屋に入る。
お風呂から上がったばかりの
私の体にすぅーっと入ってくる。

心地よい風。
心地よい気持ち。

初めてのメールを何度も何度も
読み返してしまう。


赤く染まる顔は
暑さのせいか、それとも……

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