恋、物語り



「アヤ、おはよう!
珍しいね、時間ギリギリって。
寝坊でもした?」

ケラケラと可愛らしく笑う千夏。

「あれだべ。
昨日コバとラブラブしてたんだべ?」

ミツルもまた、ケラケラと笑った。


2人の笑い方はよく似ている。
中学から交際している2人、やはり近くにいると似てくるのかな。
そんなことをボーっとしながら考えていたら
「アヤ?」と千夏に呼ばれた。


「…えっ?」

「乗れば?って…」

「千夏乗せてくれんの!?」

「まさか!このか弱い女子が2ケツで走れると思う?」

「「か弱い…?」」

ミツルと声が揃った。
2人で笑ってしまった。

身長163センチ、細いけど、華奢ではない千夏。
どこがか弱いというのか。


「アヤ、俺の後ろ乗ってけば?」

ヒーヒー笑っていたミツルが私に向き直して言った。
「ありがとう」とお礼を言ってミツルの後ろにまたがる。


久しく喋ってなかったミツルと
2ケツしてるのは不思議な光景だった。

なぜ、ミツルが私を含めた女子と話さなかったのか
安易に想像つく。


ーー…あいつ照れ屋だから。
彼はそう言ったけれど、
実はヤキモチやきの千夏への配慮。

今日は千夏が一緒だから話せるらしい。

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