恋、物語り


『アヤとミツルが何もないって
分かってるけど…
それでも2人で話すの見るのヤダ!』ーー…

高校に入学してしばらく経った頃に
よく千夏が言っていた言葉を思い出す。

その頃は千夏と一緒でも
ミツルとの2ケツなんて許さなかっただろう。
2人の絆が深まったのかな。


地面からシャーという音と共に
振動が伝わってくる。
ミツルが懸命に漕ぐ後ろで
私は空を見た。

高く高く綺麗な空を。




「アヤ、コバくんに告られたんでしょ?
付き合わないの?」
隣で並ぶ千夏が嬉しそうに言った。

「…うん。付き合うとかよくわかんなくて。
好きってどういう感情なのかとか…」
困惑した私はきっと情けない顔をしているだろう。

するとミツルが言った。
「お前、頭で考えすぎ」とバカにしたように。


「頭で考えても仕方ないべ。
アヤがコバから連絡来て迷惑と感じてないなら
少なくても興味ないとかはないだろ。
……そんなもんだよ」

「そうそう!そんなもんだよ!
私だってこんな奴のどこが好きかわかんないもん」

ミツルに続いて、千夏がミツルをけなしながら言った。
「お前!バカヤロー!」なんて言ってるミツルを見て
笑ってしまった。


お互い好きだってことが
伝わってくる。

高い空を見上げ「そんなもんなんだ」と
つぶやいた。

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