恋、物語り



「良かったなー!
立花さんとずっと付き合いたいって言ってたもんな」

男同士でもそんな話しするんだ、と少し驚いた。
彼は「まーな」と素っ気なく答えていたが、顔は笑っていなかった。


そう、私たちは付き合っている。
でも…彼は思っているだろう。
私が彼を好きではないと。


「お幸せにー!立花さん、こいつエロいから気をつけて」
彼の友達はそう冗談めかして言うと自転車を漕いで去って行った。


「…ごめん、あいつら煩くて」
「あはは。小林くん謝ってばっかり」

あはは。そうかもね。
そう言って私を見た。

優しい笑顔。
胸が締め付けられる。



ーーーー…

彼の家は大きかった。
部屋何個あるの?と聞いたら見た目だけだよ
。と言いながら玄関の鍵をあけた。

「親、仕事でいないけど…」
そう言って、私を招き入れた。


「お、お邪魔します」
緊張で声が裏返る。
そんな私を見て彼は「あはは。緊張しないでよ」と言って靴を脱いだ。


ドキドキーー…
男の人の家に入るのは初めてで今更ながら少し後悔した。


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