恋、物語り
彼の家に着く間、色んなことを教えてくれた。
通っていた小学校と中学校は隣にあること。
昔は駄菓子屋だったところは今は惣菜屋になったこと。
よく遊んだ公園。
見たこともない彼の幼い頃が想像できた。
「いい所だね」
そう言うと「でしょ?」と言って笑った。
彼の笑顔が好き。
「コバ?」
突然呼ばれて振り向いた先には2人の男の人が立っていた。
「おー、なんだよ。久しぶりだな!」
彼の顔はほころんでいた。
地元の友達だろうと安易に想像ついた。
隣に立っているだけだけど、彼の手は私を離さない。
「ところで、コバ。
何?付き合ったの?」
「…おう」
「やべー!マジか!立花さんでしょ?」
ふいに向けられた彼らの言葉。
彼らは私の名を知ったいた。
「はい」としか返事が出来なくて動揺する。