恋、物語り



同じクラスには中島くんもいた。
「同じクラスだったんだね」
「そう。あいつとは腐れ縁。幼稚園から一緒だよ」

中島くんも幼い。
「ふふ」と、笑みがこぼれた。

幼い頃から友達の小林くんと中島くん。
だから少しだけ笑い方が似てるんだな。と思った。
中島くんを見ても鼓動が速くなることはなかった。



「…中島のこと、見れて嬉しい?」
彼の声はとても小さかった。
そして突然だったから何を言ったのか聞き取れなかった。

「え?」
聞き返したが「何でもない」と言って目を逸らした。



個人写真のページの次は、クラスの写真がズラーっと並んでいた。
友達同士、とても仲が良さそう。

彼を探した。
メインで写ってるもの、小さく後ろに写ってるもの、色んなところに彼は写っていた。


彼は一枚一枚、この時はあーだった、この時はこーだったと説明してくれる。
そして、ふと手を止めた。
私も、その写真を見て笑顔が作れなくなった。


「…これ」
「卒業の時は別れてたのにさ、勝手に載せられたんだよね。
思い出だろーって」

小林くんと、中学時代の彼女の写真ーー…



胸が痛い。
こんな写真見たくなかった。


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