恋、物語り
彼女は可愛かった。
一つ一つ揃ったパーツが綺麗に顔に並べられている。
長い髪の毛は二つに結ってあり、彼と寄り添ってピースサインをカメラに向けられていた。
「アヤ?どうしたの?」
黙る私に彼の声が向けられる。
「……可愛い子、だね」
一言しか言葉が出なかった。
「可愛い?写真写りが良いだけだよ」
「ふーん」
可愛くない一言が部屋に響いた。
「アヤ?…なんか怒ってる?」
「別に…別に怒ってなんかない!」
言葉とは裏腹な私の行動。
彼は困惑した表情を見せる。
昨日はユウコに嫉妬して
今日は元カノに嫉妬してる。
私の気持ちは忙しい。
沈黙が続く。彼はまだ困惑しているだろう。
「アヤ…ごめん。俺、何か言った?」
言葉が出てこない。
何と言えば良いのか考えていたら彼は口を開いた。
「アヤ、お願い。思ってることあるなら言って。
俺、もうアヤと離れたくない…。
例え、俺だけが好きだとしても…まだ離れたくないんだ」
涙が、出そうになった。
気持ちを言わなくては、彼を不安にさせるだけ。
そんなこと分かっているのに、上手く言葉が出ない。