恋、物語り
始業式は午前中で終わった。
バタバタと帰り支度を始める。
私も例外ではなかった。
持ってきている手鏡で前髪を直して、ナツキに別れを告げて彼のいる教室へ急いだ。
彼のクラスはまだホームルームの真っ最中だったから、教室の前で携帯を弄って待っていた。
そこに「ほら、今日言うんでしょう」という声が聞こえる。
ふと、声の方に目線を向けると、ユウコとその友達が立っていた。
「あ…」
思わず声が上がる。
彼女たちも私に気が付いてはいたが、目を合わせようとはしなかった。
ーー…『今日言うんでしょう』
何を?…誰に?
少し不安が過った。
まさか、という思いが巡る。
ユウコは、小林くんが好き。
でも、私たちは付き合っていて…
不安も不満もない。
一つ言えば、私が彼を名前で呼ばないことだけ。
でも……
嫌な考えが次々と浮かんでくる。
告白という文字が頭を過った。