痛々しくて痛い
「はい」


私が返事をした所で、上半身だけこちらに向けて会話を交わしていた絹田さんは改めてカウンター側へと向き直った。


引き続き作業をするようだ。


「…今日は絹田さんが茶器当番なんですね」


カウンターに近付きつつ問い掛ける。


「うん、そう」

「何をやるか、見学させていただいても良いですか?今後の参考の為に」

「あ、そうする?後で説明するつもりではいたんだけど…」


するとその時、部屋にノックの音が響き渡った。


「はーい」


絹田さんの返事の後、一拍置いてからドアが開き、麻宮君がのそっと姿を表す。


「おはようございます…」


そして挨拶を繰り出しながらドアを閉め、自分のデスクへと歩を進めた。


「おはよう」

「あ、おはようございます」

「何やってるんですか?」


パソコンの電源を入れ、カウンター前に並ぶ私達に改めて視線を向けると、麻宮君は問い掛けて来た。


「ん?今日は私が茶器当番なんだけどさ、綿貫さんに説明しながら動こうかな、と思って」

「あ、じゃあ俺も」


そう言うと、麻宮君はササッと移動し、私の右横に並んだ。


「って言っても、別にそんな真剣にレクチャーしなくちゃいけないような事でもないんだけど…。まぁ、一応見てて」

「はい」

「お願いします」
< 155 / 359 >

この作品をシェア

pagetop