痛々しくて痛い
「えっと、まず給湯室でポットとやかんに水を汲んでくるでしょ。んで、戻って来たらポットをコンセントに繋ぎ、湯沸かしボタンを押す、と。それで後はほったらかし」

「はい」


「で、次にコーヒーを作るんだけど…。こういう、昔ながらのというか旧式というか、フィルターに粉を入れるタイプのコーヒーメーカーって、使った事はある?」

「あ、はい。家にあるのがまさしくこのタイプなので…」

「俺ん家も。今時の洒落たやつは高いですからねー」

「じゃあ、事細かに教える必要はないね。あ、必要な物はここに入ってるから」


言いながら、絹田さんは腰を屈め、カウンター右側下部にある扉を開いた。


そしてコーヒーの粉が入っているのであろう缶と、紙フィルターの包みを取り出し、カウンター上に置く。


「この部分にフィルターをセットして、作りたい量…とりあえず5杯分だね。その分のコーヒー粉を、付属のスプーンを使って入れる、と」


手早く作業しながら絹田さんは解説を続ける。


「あ、何人分がスプーン何杯、っていうのは、缶のラベルにちゃんと書いてあるから」

「はい」

「分かりました」

「それで今度は給水タンクに水を入れる訳だけど、ここでこの子の出番です」


そう言いつつ、絹田さんはよいせ、とやかんを持ち上げた。


「あれ?昨日カップを洗う時に、大庭さん、給水タンクも取り外して持って行きませんでしたっけ」
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