痛々しくて痛い
大いに混乱しつつも、話しかけられているのに無視する訳にもいかないと、何とか頑張って言葉を吐き出す。


「じ、自分では、特別、生活に支障はないんだけど…」

「それだけ麻痺しちゃってんだって。今からきちんとケアしとかないと、早い段階で四十肩五十肩になっちまうぜ?」

「う、うん」

「ここまで来たらプロの手が必要かもな。良かったら、俺が世話になってる整体紹介して…」


するとその時、絹田さんが素早く距離を詰め、麻宮君の右手首を勢い良く【ガッ】と掴んだ。


「えっ?ちょ、何するんですか」

「『何するんですか』じゃないでしょーよ。堂々とセクハラすんのはお止めなさい」


言いながら、私の肩からその手を引き剥がすと、左手も同様にする。


「へ!?セ、セクハラなんて、そんな」

「異性の体にむやみやたらと触る行為を、セクハラと言わずして何と言う」


慌てふためく麻宮君にクールに言い放ったあと、絹田さんは私に視線を向けた。


「ゴメンね?当の綿貫さんが何も言ってないのに、勝手に騒いじゃって。でも、こういうのってどうもスルーする気になれなくて」

「あ、い、いえ…」


「同僚とは仲良く、和気藹々と仕事して行きたいとは思ってるけど、別にそこにスキンシップを取り入れる必要はないからね」


絹田さんは凛とした口調で続けた。
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