痛々しくて痛い
「例え本人達は良くても、正直、端から見ていてあまり気持ちの良いものじゃないし。ここはオフィスなんだから、そこら辺の線引きは、私はきちんとして欲しいと思う」


麻宮君はハッとした表情になると、すぐにそれを引き締め、神妙な声で謝罪した。


「そうですよね…。すみませんでした。学生時代の体育会系のノリを持ち込んでしまって。社会人らしからぬ振る舞いだったと思います」


そして絹田さんから私へと視線を移す。


「ゴメンな?綿貫。どうも俺って、そういう部分のデリカシーがなくて」

「あ、そ、そんな」


私は慌てて返答する。


「悪気があった訳ではないから…。それに、私の対応も、適切じゃなかったと思うし」


ただなすがままにヘラヘラと笑っているだけで、何もアクションを起こさずにいた。


「お、お互いに、今後は気を付けるという事で…」

「…うん」

「どうやら話はまとまったようだね」


すると、その場に漂うしんみりとした空気を変えるように、絹田さんがそれまでよりも陽気に声を発した。


「んじゃ、この話はこれで終わり。始業時間まで、それぞれ自由に過ごそう」

「は、はい」

「分かりました」


私と麻宮君にそう宣言しつつ歩き出した絹田さんが、自分のデスクへとたどり着いたのを見届けてから、私達もその場を離れた。


びっくりした…。


自分の席に腰掛けながら、先ほどのハプニングを思い返す。
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