痛々しくて痛い
でも、とにかくどの支店の店員さんも皆穏やかで常に店内にはほんわかとした空気が流れていた。


休日の大混雑した状態でもそれは変わらず、とてもリラックスした気分で買い物が楽しめたし、私にとっては最上級に居心地の良い、まさに癒しの空間だったのだ。


つまりそれだけ社員教育が徹底している、優良企業なのだろうと判断する事ができた。


また、店内に飾る見本品の作成や、各ハンドメイド教室の講師等の業務で、多少は物作りにも関われるし、それより何より、大好きな物達に囲まれて仕事ができるなんてまるで天国じゃないかと思った。


なのでもう、私には真々田屋しかないと、すぐさま会社説明会の予約を入れ、当日は気合い充分で会場に向かったのだった。


だがしかし…。


参加者の四割ほどが男性であった事にまず戸惑いを覚え、さらに、聞く気はなくとも自然と耳に入って来てしまう雑談により、東京近県の国立大や有名難関私大の、経済学部やら商学部やらの学生が紛れ込んでいる事を知り、大いに度肝を抜かれた。


『そんなハイレベルな人達とこれからの試験を競り合っていかなくちゃいけないの!?』と。


いや、間々田屋ホームページの新卒採用試験要項には、全学部全学科が対象であること、また、『現時点での手芸のスキルは問わない』という事が明記されていたので、どこの大学の学生がエントリーして来たとしても何ら不思議な事ではなかったんだけれども。
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