痛々しくて痛い
「よっぽど太っ腹な会社ならそういうとこもあるのかもしれないけどさ。あ、ペットボトルのお茶は支給されたけどね」

「ふ~ん」

「だけどそういうイレギュラーな事でもない限り、通常の業務で宣伝、広報課と関わる事ってあまりないからさ。さっきCMの件では思わずはしゃいじゃったけど、それ以外でどういう動きをしているのかは、実はかなり謎」

「まぁ、特殊な業務だよな」


パエリアに乗っていたドデカイ貝の身をほじくり出しながら俺は会話に加わった。


「正直、あんまり仕事してるって感覚はないんだよな。初めての業務だらけで新鮮だからってのもあるのかもしれないけど、何ていうか、こう…」


しばし迷ってから続けた。


「まるで毎日文化祭の準備をしてるみたいなさ。心が弾むドタバタ感っていうの?」

「えー。楽しそう!」

「そう、楽しいんだよ」

「お前には合ってたって訳だな、そういう仕事が」


笑みを浮かべながら星野に答え、貝の身を口に入れた所で、隣の陣内がローストビーフをフォークで丸めて突き刺しつつボソッと呟いた。


「うちの会社の広報担当者はそんな楽しんで仕事してるようには見えないけどな。あくまでも淡々とこなしてるっつーか。ちなみに、独立した宣伝広報部門ってのはなくて、庶務課が兼任してるんだけど」

「…ああ、実は真々田屋も、ちょっと前まではそういう感じだったんだよ」
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