痛々しくて痛い
そんな風に恐れおののきながら迎えた初勤務の日。


出迎えて下さった店長とパートさん達は、げっそりどんよりな私を見て『なんてフレッシュ感皆無の新人だろう』と内心驚いたハズ。


だけどそんな感情はおくびにも出さずに、皆さん笑顔で歓迎して下さり、研修で勉強していたけれどお客様を前にしたら絶対にまごつくであろうレジ操作や、業務を行う上での決まりごとなどを、改めて、一から丁寧に教えて下さった。


皆さんのお心遣いにより、徐々に不安な気持ちは解消され緊張も解けて行って、数週間後には基本的な業務なら一人でも問題なくこなせるようになっていた。


不安要素だった接客のスキルも、物理的な作業に慣れるのに比例して少しずつ身に付いて行き、気付いた時には、自然と笑顔を浮かべながらお客様とお話できるまでになっていた。


接客と言っても、魚屋さんや八百屋さんのように「ヘイらっしゃい!」なんて威勢良く声を張り上げなくちゃいけない訳じゃないもんね。


むしろ、ゆったりのんびり店内を見て回りたいというお考えのお客様が多い真々田屋では、そういった振る舞いは敬遠されるだろう。


何しろそこを訪れるお客様の大半は私と同じ趣味を持つ方達なのだから。


同士の皆さんが醸し出す空気感に共鳴し、リラックスした状態で接客ができるのは当然といえば当然の事だった。
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