痛々しくて痛い
星野は気まずそうな表情を浮かべて項垂れてしまったけれど、吉田はさらにヒートアップした。


「久しぶりに会えるから、すっごくすっごく楽しみにしてたのに!」

「……は?」

「ずっとずっと、好きだったんだから!」


突然話が脈略もなく変わったので、自分でもさぞかし怪訝な表情をしているんだろうなと自覚しつつ聞き返せば、吉田は体と声を震わせながら続けた。


「高校の時は、女子バスケ部の後輩と付き合ってたし、大学でも彼女がいるって言ってたから、泣く泣く諦めたんだから。だけど、今はフリーだって聞いて、今度こそって、思ってたのにっ」


ここまで来ればもう、吉田が何を言わんとしているかは充分に理解できた。


この中にいる誰かに、昔から思いを寄せていた事を主張している訳で、そしてその提示されたデータに当てはまる人物は一人しかいない。


ズバリ、この俺だ。


星野の訳ないし、陣内が高校の時付き合っていた彼女は吹奏楽部で、しかもいまだに続いていたりする。


つーか、今フリーだという情報源は…。


そこでチラリと隣の陣内を盗み見た。


案の定慌てて視線をそらしやがる。


「それなのに何でよっ。何でこんな、大好きな人とケンカなんかしなくちゃいけないワケ!?」

「原因を作ったのはお前だろ?」


どさくさ紛れの告白に虚を突かれ、怒りのテンションが一気に沈静化した俺は、今度は冷静に発言する事ができた。
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