痛々しくて痛い
そして財布を取り出し、五千円札と小銭を抜き取る。


「…って言うか、俺も相応しい言葉が思い浮かばない。どう頑張っても、お前を追い詰めてしまいそうな気がする」


それをテーブルの上に置き、立ち上がった。


「だからお互い、頭を冷やそう」


次いで陣内に向けて宣言した。


「悪い。今日はもう帰るわ。これ、俺の分な」


彼の返事を待たずにさっさと歩き出し、コートを回収して、そのまま足早に部屋を出た。


出入口まで来た所で、ホールから厨房に入ろうとしていた店員とかち合ったので、「先に一人帰ります」と念のため一声かけてから店を後にする。


「麻宮!」


駅へと向かうべく数10メートル歩いた所で、後を追いかけて来たらしい陣内に呼び止められた。


立ち止まって振り向き、彼が追い付くのを待つ。


「これ、一旦返しとく」


若干息を乱しながら、陣内が右手で差し出して来たのは、一昨々日提出したばかりのクラス会のハガキだった。


「色々状況が変わったからな。もう一度、良く考えてから返事を出してくれ」

「…お前が言ってたのはこういう事だったんだな」


ハガキを受け取りながら、それに対しての返答はせずに、俺はポツリと呟いた。


「ああ…」


みなまで言わずとも、陣内には伝わったようだ。
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