痛々しくて痛い
「当然だ」


あんなんただの八つ当たり、言いがかりじゃねーか。


「そんな薄氷の上を歩くような、女子同士の危うい関係性は、ほとんどの男子が感付いてたと思うぜ。もちろん、『中立な立場を貫こう』っていう暗黙の了解の元、学生生活を送ってたけどな。まるっきり蚊帳の外だったのはお前くらいだよ」


「うっ…」と詰まった俺を見て、陣内はそれまで浮かべていた苦笑いを若干柔らかい物に変えた。


「まぁ、それはもう仕方がないよ。それに、今から考えれば、お前のその能天気さがむしろ、崩壊しそうなクラスを繋ぎ止める為の重要な楔になっていたんだろうから」


陣内のフォローにかえって罪悪感が込み上げ、俺はたまらず弁解した。


「俺、あん時はとにかくバスケが楽しくて、しかも頑張れば頑張るほど自分がレベルアップして行ってる手応えをヒシヒシと感じられて、無我夢中で突っ走ってたから…」

「うん、分かってるよ」

「正直、綿貫の事はただのクラスの一員としか認識してなかったし、その動向なんか全く興味がなかった。だけど…」


どうしても陣内にこの胸の内を聞いてもらいたくて、そして何故かとても気持ちが急いて、俺は早口でまくし立てた。


「だけど今は、同じ部署で毎日顔つき合わせて、それなりの信頼関係が芽生えた相手なんだから。そいつの悪口言われたら、とてもじゃないけど黙ってなんかいられねーよ」
< 264 / 359 >

この作品をシェア

pagetop