痛々しくて痛い
「やっぱり、そうなったか」


陣内は思わず、という感じで『ふっ』と笑みを漏らすと、力強く言葉を発した。


「お前は紳士なガキ大将だからな」


「……は?」


何だそりゃ。


アゲてんのかディスってんのか。


「誰にでも人当たりが良く明朗快活かと思いきや、意外と辛辣で毒舌で頑固な面もある。そんでもって、興味のない人物にはホントにとことん、清々しいまでに無関心だけど、何かのきっかけでその相手との距離が縮まると…自分の仲間であると認識すると、途端に庇護欲が沸き起こり、その仲間が誰かによって窮地に陥れられたりした際には、自分が矢面に立って徹底的に戦い、敵をコテンパンに叩きのめすんだよな」


陣内は臨床心理士のごとく、淀みない口調で俺自身自覚していなかった俺の精神構造を詳細に解説する。


「敵に回したら恐いけど、気に入られれば、これほどまでに心強く感じられる味方はいないよな」

「いや、つーか…」


あちこち引っ掛かる箇所があり、それを突っ込むべきか、そして突っ込むならどこから攻めるべきかを迷っている間に、陣内はボソッと言葉を発した。


「今回の場合は、気持ちのベクトルが今までとは大分違うようだけど…」

「え?」


その時、ちょうど大通りの方から車のクラクションが鳴り響いてきて、その小さな呟きはかき消されてしまった。


「なに?何だって?」

「いんや、ただの独り言」
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