痛々しくて痛い
かつてのクラスメートに、勝手に結婚の予定をバラされたりするのはあまり気持ちの良いものじゃないだろう。


もしかしたらその点優子ちゃんは気にしないかもしれないけれど、それでもやっぱり頼まれてもいないのに、個人のプライバシーを第三者が勝手に広めるべきではないと思う。


「…疲れてる時にはその『ちょっと』の時間だってすげー貴重だし、しかも長期に渡って毎日削られるとなると、なかなかの負担になると思うぞ。金をもらうから良いってもんでもない」

「で、でも、前にも言ったけど、編み物自体が私のストレス解消法だから…」


大いに戸惑いながらも何とか頑張って胸の内を伝え続けた。


「ホント、私自身が喜んで引き受けた事だから、大丈夫だよ?」


しばし私の目をじっと見つめたあと、麻宮君はポツリと呟いた。


「……なら良いけど」


そしてふいっと視線を逸らし、自分のデスクへと戻って行く。


緊張感漂う会話からやっと解放されて、思わず安堵のため息をついた。


い、一体どうしちゃったんだろう?麻宮君。


何で私の手作りライフについて、こんなにあれこれ厳しく追求して来るんだろうか?


何か、正直、ちょっと、怖いと感じてしまった…。


そこでふと視線を感じ、その方向を見やると、こちらを凝視している颯さん伊織さんと目が合った。


二人も麻宮君のただならぬ様子に気付き、私達の会話に耳を傾けていたのだろう。
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