痛々しくて痛い
エレベーターから降りるなり、女性は左手の方向へと足早に歩き出した。


「あ、はい。お疲れ様でした」

「これからよろしくお願いします」

「こちらこそ~」


私と麻宮君の言葉に笑顔でそう言い残し、彼女はその先にある総務課に向かってキビキビとした足取りで歩を進める。


「じゃ、俺らも行くか」

「は、はい…」


女性がドアをノックする音、一拍置いて「失礼します」と発している声を背後に聞きながら、私達は廊下を進み、その部屋の前で立ち止まった。


私が何かアクションを起こす間もなく、麻宮君が率先してドアをノックしてくれて、間髪入れず中から「どうぞー」と声が上がった。


「失礼します」


挨拶しながらドアを開け、中に入った麻宮君に続いて私も入室する。


「おおー。来た来た」

「おつかれー。大変だったでしょ?各部署への挨拶行脚は」

「オレらも1ヶ月前にやったんだよねー」


染谷さんと絹田さんと大庭さんが、口々にそう言いながら笑顔で私達を出迎えてくれた。


「ま、とりあえず座って座って。麻宮君はオレの隣で、綿貫さんはその向かいの席ね」


さらに大庭さんはそう続けると、右手でそれぞれのデスクを順番に示す。


入口入って数メートル先に、スチール製のデスクが5つ、向かい合わせで密着して並べられていた。
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