痛々しくて痛い
「オレだって無理ですってば!それだったらやっぱり課長である樹さんが責任持って指揮を取るべきですよ!」

「いやだから、俺は元々事務方のが得意で、矢面に立つのは不向きな性格であってだな…」


そこで3人はハッとした表情になり、一斉にこちらに視線を向けた。


だんだんとエキサイトしていく彼らに圧倒され、言葉をなくしている私と麻宮君に気付いたのだろう。


「ま、まぁ、とにかく、あれだ」


染谷さんは顔を赤らめ、コホン、と咳払いしてから続けた。


「このように、それぞれが大いなる不安を抱え、暗中模索状態でいるって事だ。心細い思いをしているのは君達だけじゃない。だから皆で、力を合わせてこの局面を乗り越えて行こうじゃないか!」

「そ、そうですね…」

「分かりました。頑張ります」


染谷さんがそう強引に話を締めて、二人もウンウンと頷いていたので、私達も余計な事は言わずに素直に同意した。


だけど、今のディスカッションを見ていてとても意外だった。


こんな、いかにも威風堂々としていて『人生上々オーラ』が漂う方達でも、自分が中心になって動く事を躊躇し、その役目を押し付け合うような事をするなんて。


変な言い方だけど、ちょっとだけ、安心しちゃったな。


あ、いや、あくまでもほんのちょっとだけど。


何だかんだ言って結局、皆さん最終的にはスマートにエレガントに業務を遂行してしまうんだろうから。
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