痛々しくて痛い
それほどハードに体を動かす訳ではないので、その服装でも全く問題はなかった。


郷に入っては郷に従えで、大庭さんも周りに合わせたのかもしれない。


そういえばさっき暗黙のルールがどうのこうのって言ってたもんね。


案外そういうの、気にするタイプなんだろうな。


それでもやっぱり彼からは、クリエイティブな仕事をしている人特有の、ハイセンスぶりがこれでもかとばかりに滲み出ているのだった。


とにかく『販促総プロ課』に配属された皆さんは、私以外、それぞれタイプは違えど、すこぶる見映えがする方ばかりだった。


自社の魅力を最大限にアピールするのが広報課の主な仕事であり、担当者そのものが広告塔としての役割を担ってくれる事を期待して、このような人選になったのだろうか。


……って、それじゃますます、私が選ばれた事に対しての矛盾が生じてしまうんだけど。


「綿貫さんのロッカーはここね」


またもや自分の世界に入り込んでいた私は、絹田さんの言葉で意識が外界に向いた。


「鍵は持ってるよね?」

「あ。は、はい。朝の段階で配られました」


いつの間にやら「綿貫」というネームプレートが挟み込んであるロッカー前まで案内されていた。


部屋のドアがある面以外の三方の壁、つまり「コ」の字型にロッカーが並べられていて、今私達が立っているのは入口から見て突き当たりの、左端に位置する場所だった。
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