Assassins
意識はあるのに、立ち上がれない。

殺意はあるのに、体が言う事を聞かない!

歯噛みしながら、何とかトンファーに手を伸ばそうとするものの、その手がまともに動かない。

「ざまぁねぇな…」

精も根も尽きて、壁に凭れ掛かったまま、松岡は千里を嘲笑った。

「ドーピングのせいで感じていねぇのかもしれねぇが、それだけ頭部に重度のダメージを負ったんだ…お前はもう長くねぇ…」

痛みはダメージの度合いを知らせる重要な要素、というのは聞いた事があるだろう。

薬物によってその要素を失った今、千里は命に関わる重傷を負っている事すら認識できない。

このまま、痛み無き死を迎える事になるだろう。

死の寸前まで松岡に復讐を果たそうと足掻きながら。

それは、恐ろしい結末であった。

命を失う直前まで、他者の命を奪おうとしか考えられないのだから。

< 318 / 360 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop