あなたと月を見られたら。

手のひらに感じる熱い熱と固い欲望。熱くたぎった彼自身をまじまじと手のひらに感じて


「ぎゃあ!」


必死に身をよじって逃げ出すと


「俺の苦しさがわかった?美月。こんなになってるのに美月を抱かずに我慢して、会社に帰してあげようとしてる俺って…すっごく紳士で優しいヤツだよね??」

「う、うう!!」

「いい子な美月にはもうわかるよね?
俺の優しさと思いやりと我慢をちゃんと理解した上で…夜八時にちゃーーーんとここに戻ってくるんだよ?」


龍聖はゴオオォと黒いオーラをまといながら、私に圧をかけてくる。


こ、こわい!
っていうかコレが好きな女の人に対する態度なの?!


ビクビクしながら

「わ、わかってます!
ちゃんと戻ってくる!戻ってくるから安心して!!」

そう訴えると

「わかった。
じゃあ、また後でね。」

悪魔は怒りを鎮めて、にっこりと微笑んだ。



わ、私…
凄い人に惚れてしまったのかな…




今更ながらに自分の選択を軽く疑いつつノソノソと私がお店を立ち去った後


「手に入れたと思ったら逃げ出して、食べれる!と思ったら食べさせてくれなくて…ホント美月は予想外な行動で楽しませてくれるなぁ…」


龍聖はそんな言葉をつぶやいた、らしい。



「でも、ここでこんだけ我慢させられたらさ?夜に戻ってきたところで優しく抱いてあげられる自信なんて…どこにもないけどねぇ?」



ニヤリと笑って悪魔の尻尾をフリフリしながらつぶやいた言葉の通り。


私はこの後「あそこで帰るんじゃなかった!」と後悔するほど強く激しく抱かれてしまい…次の日はカラダがいうことをきかず、会社を欠勤してしまうハメになったのだった……。


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