あなたと月を見られたら。
え、
え、
え、
え、
えぇーっ?!?!?!
「ふ、双子?!」
そんなの聞いてない!!
あの優しい麻生さんと龍聖が双子だなんて…し、信じられない!!!
瞳孔の開きっぱなしの瞳で麻生さんと龍聖を交互に見ていると
「美月はそこにいる俺のアニキの名前は知ってるの??」
龍聖はクスクス笑いながら、私に優しく問いかける。
え?麻生さんの下の名前は……太郎……????えっ?!わかんない!!
そこまで考えて、私は初めて彼の下の名前をよくわかっていない自分に気づく。
ま、まさか…
「美月は信じたくないだろうけどね。アニキの名前は麻生優聖(アソウユウセイ)。俺、龍聖と優聖は間違いなく双子だよ。」
「で、でえええぇーっ!!」
「あははー!残念だったねー、牧村さん。俺の名前を知ってたらピンときてたかも知れないのに。」
ケラケラ笑う麻生さん(悪魔のかたわれ)に、不敵な笑みを浮かべる龍聖。
そ、そんな馬鹿な…。
あの優しい麻生さんが龍聖と双子?!信じられない。
「だ、だって名字が違う!!」
そ、そうよ!
麻生と佐伯だよ!?
違う、違う!!人間悪魔はこの世に一人だけで充分なんだからーっ!
そんな私の必死の抵抗は
「あははー。俺たちの両親離婚してるからね。」
「き、聞いてない!
龍聖が双子だったなんて初耳ですけど!」
「え?だって、美月が聞かなかったから。」
サラリサラリと二人の悪魔の手によってかわされていく。
そして最後の抵抗で
「だ、だって2人は似てないし!」
と叫ぶと、二人は一瞬顔を見合わせた後
「しょうがないでしょ。俺たち、双子だけど父親が違うんだから。」
真面目な顔して、龍聖はこんなワケのわからないことをつぶやいた。