あなたと月を見られたら。


え、

え、

え、

え、

えぇーっ?!?!?!



「ふ、双子?!」



そんなの聞いてない!!
あの優しい麻生さんと龍聖が双子だなんて…し、信じられない!!!


瞳孔の開きっぱなしの瞳で麻生さんと龍聖を交互に見ていると

「美月はそこにいる俺のアニキの名前は知ってるの??」

龍聖はクスクス笑いながら、私に優しく問いかける。



え?麻生さんの下の名前は……太郎……????えっ?!わかんない!!


そこまで考えて、私は初めて彼の下の名前をよくわかっていない自分に気づく。


ま、まさか…


「美月は信じたくないだろうけどね。アニキの名前は麻生優聖(アソウユウセイ)。俺、龍聖と優聖は間違いなく双子だよ。」

「で、でえええぇーっ!!」

「あははー!残念だったねー、牧村さん。俺の名前を知ってたらピンときてたかも知れないのに。」


ケラケラ笑う麻生さん(悪魔のかたわれ)に、不敵な笑みを浮かべる龍聖。


そ、そんな馬鹿な…。
あの優しい麻生さんが龍聖と双子?!信じられない。

「だ、だって名字が違う!!」

そ、そうよ!
麻生と佐伯だよ!?
違う、違う!!人間悪魔はこの世に一人だけで充分なんだからーっ!


そんな私の必死の抵抗は

「あははー。俺たちの両親離婚してるからね。」

「き、聞いてない!
龍聖が双子だったなんて初耳ですけど!」

「え?だって、美月が聞かなかったから。」


サラリサラリと二人の悪魔の手によってかわされていく。


そして最後の抵抗で

「だ、だって2人は似てないし!」

と叫ぶと、二人は一瞬顔を見合わせた後

「しょうがないでしょ。俺たち、双子だけど父親が違うんだから。」

真面目な顔して、龍聖はこんなワケのわからないことをつぶやいた。


< 56 / 223 >

この作品をシェア

pagetop