あなたと月を見られたら。

「あの事件??」

意味がわからなくて首をひねると

「ああ、ごめん。
コレは俺の口から言うわけにはいかないから、直接龍聖に聞いてね。」

麻生さんは慌てたように、口をつぐむ。



あの事件ってなんだろう…。
少なくとも私と龍聖が別れたコトではなさそうだけど…、龍聖が脱サラしてカフェのオーナーになったことと何か関係があるのかなぁ。


麻生さんの言うところの“女の第六感”ってヤツがピピッと働いて、口を開こうとすると


「あーっと、ストップ!!」

「え、えぇ?!」

「俺は聞かれてもウンもスンも言わないって決めてるから、牧村さんが何を聞いても時間の無駄だよ??」


フフッと笑って、麻生さんは私を牽制し始める。



ええーー?!
この期に及んで?!



「あの…」

「しーらないっ。俺は何にも知らないよー!言わないよー!!」



それでも問い詰めようと声をかけると麻生さんは両耳を両手で塞いで、聞こえないフリを決め込んだ。

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