あなたと月を見られたら。

サイテー!!


素敵だと思って損した!
見直したのに損した!!
やっぱり龍聖の根本は変わってない。あの頃の価値観と全く変わってないじゃない!


二個進んだと思ったサイコロはまた2つ戻って、振り出しに戻ってきた。


「すいませんね。その他大勢の女の子と同じじゃなくて。」


解けない左手はそのままに、チーズを口に入れて赤ワインをグイっと喉の奥へ流し込むと


「うん。だから好きなんだよね。」


龍聖はこんな爆弾を私に向かってぶつけてきた。



は、は、はぁ???
意味不明!意味不明!!




突然降って湧いた龍聖の告白にゴホッと思わずむせると

「俺、本気だから。本気で美月ともう一回付き合いたいと思ってるから。」

龍聖は真剣な顔をして私の左手を強く握りしめる。



「冗談やめてよ。私はね?もう愛のない男はお断りなの。追いかけるのは疲れたの。次は優しくて自分だけを愛してくれる、優しい恋をするって決めてるの。その相手が龍聖だとは…正直思えない。」



キツイかもしれないけれど、それが私の真実だ。龍聖を見直すところもあったけれど、やっぱり彼の根本は変わらない。それを見せつけられたからこそ、の言葉だったんだけど…


「俺に愛がない、ってどうしてわかるの?俺が優しくない、ってどうして決めつけてかかるワケ??」


龍聖は一歩も引かない。

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