あなたと月を見られたら。
何を言えばいいのかわからなくて、しばらくは無言のままご飯を食べてて。それじゃダメだ!と思い直して会話をしていたけれど……。
ちゃんと目を合わせずに気持ちのこもらない顔で「これ美味しいね。」とか「これどうやって作ったの?」とか聞く私を不思議に思ったんだろう。
「美月、どうかした??」
龍聖はその端正な顔をひねりながら私にポツリと問いかける。
「え??」
いけない!
焦った私が慌てて顔を上げると
「やっと顔を見てくれた。」
ホッとした顔をして龍聖が微笑む。
「2年前と同じ顔をしてたから不安になったよ。」
「2年前?」
「うん。美月が他に好きな人が出来た、って言って別れた2年前。ショックだったよねー、あの時は。」
イジワルな悪魔な笑みを浮かべながら、龍聖は私の左手の上に自分の右手をそっと添わせた。
ちょ、ちょっと!
焦って振りほどこうとするけれど
「ダメだよ、美月。」
そう言って龍聖は自分の手のひらに力を込めて私の手を振り解けなくする。
「や、やめてよ、龍聖!」
なんとか振りほどきたくてジタバタしてると
「ホント…美月は変わってる。」
嬉しそうに微笑んで、龍聖は私の指に細くて長い、少し骨ばった自分の指をスッと絡める。
「ちょ…!やめてってば!龍聖!!」
2年ぶりに絡めた龍聖の指。細くて長い、そして少しだけ体温の低いその冷たい指の感触に昔を思い出してドギマギしてると
「俺、振られたのも、こんな風に嫌がられるのも初めてなんだよねぇ。」
「は、はぁっ?!」
「俺、正直オンナに困った時ってないからさ?食事に誘ってこんな風に手を繋げば、大抵の女の子はみんな顔赤らめて喜んでセックスさせてくれるっていうのに……美月の反応って新鮮で面白いよね。」
龍聖はまたまた最低な言葉を紡ぎ始める。