続・祈りのいらない世界で

12・キヨkgのお荷物

久しぶりにパートが休みのカンナは、フウと一緒にリビングで昼寝をしている。



キヨは2人の寝息を聞きながらスーパーのチラシを眺め、夕食のメニューを考えていた。




「今日は何が安いかな?昨日はお魚だったから今日はお肉がいいよね」



キヨが鼻歌を唄いながら、買うものをメモしているとカンナが起きた。




「キヨ、買い物行くの?」


「カンナおはよ。うん、行ってくるよ。カンナは疲れてるんだからまだ寝てていいよ」


「私は大丈夫よ。買い物も私が行くから。キヨ、イノリに外出禁止にされてるし妊娠中だから危ないわよ」


「大丈夫だって。まだお腹大きくないし、家でゴロゴロしてる方が体に悪いよ。カンナはフウといてあげて」



キヨはそう言うと、鞄を持って家から出て行った。


自動車免許を持っていないキヨは、家に一台だけある自転車に跨ると、携帯にイヤホンを繋げた。




「ただ自転車漕いでるだけじゃ疲れるから、音楽聴こう♪何の曲にしようかな」




キヨはイノリと自分に似合った曲を選択すると、自転車を漕ぎ始めた。

イヤホンから流れる優しい歌。




過去を思い出すと片思いソングが聞きたくなる。

イノリと離れていた時を思うと失恋ソングが聞きたくなる。



今を思うと幸せなラブソングが聞きたくなる。
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