続・祈りのいらない世界で

 

あれ…

何だろう……




目の前が白くなっていく。




…閉じていく感覚…







イノリ…
私…死んじゃうの?






「美月?どうした?」



キヨの様子がおかしい事に気付いたイノリがキヨに声を掛ける。


キヨは瞬きもせずに一点を見つめているだけ。








やだ…

まだ死にたくないよ。



やっと陽ちゃんと会えたのに…。




それに
私がいなくなって

イノリが他の誰かを愛すようになったら…?




っ…そんなの!!



「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

「落ち着け、美月!どうしたんだよ」



いきなり叫び出したキヨに驚いたイノリは、息子を助産婦に託すとキヨの手を両手で握り締めた。





「…イ…ノリ」

「ん?」




声が…出ない。


神様…
もしこのまま死んでしまうのなら


お願いだから5文字だけ

愛する彼に伝えさせて下さい…。





キヨは重い唇を震わせながら、ゆっくりと動かした。
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