続・祈りのいらない世界で

6・〜大学生・上京編〜

上京したての5人は、ケンが当てた音楽番組のスーパーライブの観覧に行く為、埼玉にやってきた。



会場のホールに入ると中には、好きなグループの団扇を大切そうに抱える人や、ペンライトを持つ人で溢れかえっていた。



「ケン、よく5人分も当てたね」

「でしょでしょ!?懸賞が当たる裏技知ってるからね♪」

「………どうでもいい知識は備わってるんだね」

「どういう意味だよ、カゼ!!」



キヨがケンとカゼと騒いでいると、イノリは面倒くさそうに会場から出て行った。



「あれ?イノリどこ行ったんだろ」

「トイレじゃない?煙草ならいつも必ず、吸ってくるって一言言って行くから」



カンナの言葉を聞いたキヨが納得すると会場の明かりが消え、司会者とゲストの出演者がステージに現れた。



「キャーっ!!!!」

「えっ?えぇぇぇ!?あのカンナ様が絶叫してる!?」



ステージに現れた人気アイドルグループを見たカンナが叫び出す。


初めて見るカンナの姿にケンは目を見開いた。




「ケン知らないの?カンナ、あのアイドルグループ好きじゃん」


「えーっ!?カンナが?全然知らなかった…。カンナ、洋楽しか聞かないから」


「あのグループの歌は好きじゃないみたいだけど、顔が好きなんだって」


「ならわかるかも。カンナ、女顔の男好きだもんね。…カゼとか」


「ちょっとケン!!カゼに聞こえたらどうするの!」


「カゼ、カンナの気持ち気付いてるんじゃない?だから大丈夫」



口が軽いケンにキヨが呆れていると、イノリが戻ってきた。




「キャーっ♪イノリ〜」

「は?どうした、頭おかしくなったか?」

「カンナの真似しただけ♪」



キヨが何がしたいのかわからないイノリが首を傾げると、キヨは嬉しそうにイノリに寄り添った。
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