純白の君に、ほんのすこしのノスタルジアを。
てっきり、バッサリと「呼ばない」と答えるかと思ったが。
「……呼ばない、というか、呼べないでしょ。今さらじゃん」
妹が言った。
ちなみにこの時点で鳥のたたきの器は空になっていた。
出汁巻きはまだ来ない。
「一回、どうでもいい、って切り捨てたんだから、今さら呼べないし、呼んでも来ないよ。父さんだって、母さんに顔合わせられないだろうし」
「来ないかどうかは、わからないだろ」
「来ないよ。出て行ったこと、あたしに教えてくれなかったもん。兄貴の結婚式には来ても、あたしのは来ない」
それは違う、と、なおも食い下がろうとした俺の口に、妹はやっと到着したばかりの出汁巻きを突っ込んで黙らせた。
熱くて死ぬかと思った。
「結婚式には呼ばない。だってそうでしょ……呼んで、来なかったら、どうすればいいのよ」
そう言われると、もうなにも言えなかった。
俺は黙って頷いて、ぬるくなったビールを飲み干した。