不要なモノは愛
「小夏、今帰り?これから行こうとしていたんだ」


「何か用事だった?」


一樹のマンションの前を通っていたら、偶然一樹がそこにいた。手にはコンビニの袋を持っていて、雑誌らしきものが見えた。

コンビニで買い物をしてきた帰りだと分かりやすい。


「あ、でも、後から行くよ。先に帰っていて。すぐに行くから」


「うん」


家に帰って、誰もいない居間の電気をつける。以前ならこの時間に帰れば、必ず電気がついていた。

母がいなくなってから、私の帰りを待つ人は誰もいない。「ただいま」と言っても返事はない。「おかえり」という人もいない。

やっぱり寂しい。


ピンポーン


あ、一樹だ。早いな。


「はーい」


「おう!」


「あがって」とか「あがっていい?」とかは、お互いにわざわざ言わない。あがるのが当たり前だし、あがってくるのも当たり前だと思っている。
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