不要なモノは愛
「中林と飲んで来たんだろ?」


「うん」


一樹とは今朝、駅で会っていた。その時、今夜の夕食に誘われたが、秋絵と約束していたから断った。一樹は、今日珍しく早くに帰れる日だったらしい。

大手商社に勤める一樹の毎日は忙しい。まだ下っ端である一樹は上司からあれこれと押し付けられることも多いらしく、片付かない仕事のために残業をすることも多い。

秋絵も残業が多いから、比較的定時に帰れる私は、職場環境に恵まれているのかもしれない。


「昨日さ、役所に行ってきたんだよね」


「何で?仕事で行ったの?」


「これをもらってきた」


コーヒーを入れたカップを二つテーブルに置いて、一樹の前に座った。

一樹は、A4サイズの封筒から出した紙をテーブルに置く。それは初めてみるものだった。


「ええ?これって…」


「そう、婚姻届。俺が書く欄は全部書いてある。小夏、結婚しよう」


「でも、考えさせてくれるって…」


数日前にも言われて、考える時間が欲しいと言ったはずだ。なのに、もう婚姻届だなんて、先走りしていない?
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