欲しがりなくちびる
朔は、隣りで健やかな寝息を立てて眠っている浩輔を見つめながら、過去の恋愛を振り返っていた。
心よりも先に身体が恋をするということは、年齢を重ねるにつれて起こりがちな事象ではあるが、彼女の場合多くはそこから始まってきた。
女友達からは事あるごとに、最低三回はデートをした後で身体の関係に進まないと安く見られて本命にはなれないと、まるで年頃の娘を心配する父親のような態度で指摘されてきたが、長く付き合っていくことを考えているからこそ、身体の相性は早めに知っておくべきだというのが朔の持論だった。
それでもまれに、男としては最低だけれど身体の相性だけが最高という男に出会ったりすると、セックスだけと割り切るには遅すぎて、不毛な関係からいつまでも脱け出せずに降ってきた大きなチャンスを失ってみて、初めて彼女達の言うことは正しいのだと気付く。
それが女として生きていく為の答えだとしたら、これまでいくつの機会を失ってきた事になるのだろう。
そんなことがあった直後に出会った暢との関係は、珍しくプラトニックから始まった。それは暢の意図でもあったが、出会った瞬間に閃いた直感に朔も慎重に交際を進めていった。そしてそれは、恐らく正解だったのだろう。生まれて初めて、恋人からプロポーズをされたのだから。
母親を幼くして亡くした朔は、どちらかといえば結婚願望が強いほうだった。子供の目にも、大勢で囲む食卓はそれだけで幸福に満ち溢れていて素直に憧れていた。
その為、暢から「一緒に温かい家庭を築いていこう」とプロポーズされたときは本当に嬉しかった。やっと自分にも手に入れられたのだと思った。
心よりも先に身体が恋をするということは、年齢を重ねるにつれて起こりがちな事象ではあるが、彼女の場合多くはそこから始まってきた。
女友達からは事あるごとに、最低三回はデートをした後で身体の関係に進まないと安く見られて本命にはなれないと、まるで年頃の娘を心配する父親のような態度で指摘されてきたが、長く付き合っていくことを考えているからこそ、身体の相性は早めに知っておくべきだというのが朔の持論だった。
それでもまれに、男としては最低だけれど身体の相性だけが最高という男に出会ったりすると、セックスだけと割り切るには遅すぎて、不毛な関係からいつまでも脱け出せずに降ってきた大きなチャンスを失ってみて、初めて彼女達の言うことは正しいのだと気付く。
それが女として生きていく為の答えだとしたら、これまでいくつの機会を失ってきた事になるのだろう。
そんなことがあった直後に出会った暢との関係は、珍しくプラトニックから始まった。それは暢の意図でもあったが、出会った瞬間に閃いた直感に朔も慎重に交際を進めていった。そしてそれは、恐らく正解だったのだろう。生まれて初めて、恋人からプロポーズをされたのだから。
母親を幼くして亡くした朔は、どちらかといえば結婚願望が強いほうだった。子供の目にも、大勢で囲む食卓はそれだけで幸福に満ち溢れていて素直に憧れていた。
その為、暢から「一緒に温かい家庭を築いていこう」とプロポーズされたときは本当に嬉しかった。やっと自分にも手に入れられたのだと思った。