欲しがりなくちびる
「暇ですねぇ」
DM書きに飽きたのか、実加がバックヤードから戻ってきた。彼女は二年後輩の社員で、この店舗での勤務歴が一番長い。
「毎日こう暑いとね。さすがにファーに袖通す気にもならないでしょ」
「あのジャケットなんてシルエットも綺麗だしかっこいいのに、お客さんは見るだけなんですよね。入荷が少ないから控えていたけど、やっぱり社販してもいいですか?」
「どうぞ。もう今から着ていっぱいアピールしてね。そろそろ混み始める時間だから、区切りのいいところで入ってね」
朔はちらりと腕時計に目をやる。それから、ものの十分もしないうちに店は再び混み始めてくる。
実加が伝票を切ったばかりのジャケットを羽織って店内に立つと、ディスプレイを見て訪れた客の一人がさっそく彼女のコーディネートを確認して試着を希望してきた。
そこで火が付き、5万円弱のジャケットが立て続けに売れていく。
立ち上がり商品は特にトレンド色が強く個性的なものが多く並ぶため、毎年この時期に大人買いをしていく常連客も多い。
閉店後に集計を出すと、週末の予算として立ていた目標額をクリアしていた。秋冬はコートやブーツ等単価が高い商品が並ぶため本社が指示する額も上がるが、この分でいけば予定より早く月予算を達成できるかもしれないと、朔は日報を打ち込みながら試算した。
DM書きに飽きたのか、実加がバックヤードから戻ってきた。彼女は二年後輩の社員で、この店舗での勤務歴が一番長い。
「毎日こう暑いとね。さすがにファーに袖通す気にもならないでしょ」
「あのジャケットなんてシルエットも綺麗だしかっこいいのに、お客さんは見るだけなんですよね。入荷が少ないから控えていたけど、やっぱり社販してもいいですか?」
「どうぞ。もう今から着ていっぱいアピールしてね。そろそろ混み始める時間だから、区切りのいいところで入ってね」
朔はちらりと腕時計に目をやる。それから、ものの十分もしないうちに店は再び混み始めてくる。
実加が伝票を切ったばかりのジャケットを羽織って店内に立つと、ディスプレイを見て訪れた客の一人がさっそく彼女のコーディネートを確認して試着を希望してきた。
そこで火が付き、5万円弱のジャケットが立て続けに売れていく。
立ち上がり商品は特にトレンド色が強く個性的なものが多く並ぶため、毎年この時期に大人買いをしていく常連客も多い。
閉店後に集計を出すと、週末の予算として立ていた目標額をクリアしていた。秋冬はコートやブーツ等単価が高い商品が並ぶため本社が指示する額も上がるが、この分でいけば予定より早く月予算を達成できるかもしれないと、朔は日報を打ち込みながら試算した。