幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
「その男の子のことを意識しすぎちゃって苦しいの?」



「うん……」



「りりちゃん、その男の子のことが好きなのね?」



ベッドの上で穏やかに微笑んでいるおばさんに思ったままを伝える。



「よく分からないの……

だって、今までだって普通に好きだったし……」



「でも、友達や家族に対する好きって気持ちとそういう気持ちは違うでしょう?


なんでもないことがすごく気になったりその子のことばかり考えたり、

遠くから見てるだけでドキドキしたり…」



「おばさん、これってどうしたら治るの?」



「治す必要なんてないのよ」



笑顔で答えたおばさんに顔を曇らせる。



「でも、今のままだと普通の会話すらできない…

今までどんな風に話してたのか、わからなくなっちゃったの……」


玲音のことを考えると、胸の奥がぎゅっと苦しくなる。


「それなら、今、りりちゃんが思ってることや感じてることを

そのままその子に伝えてみたらどう?」



「思ってることを?」



「そう、ドキドキして苦しい、とか緊張する、とか。

"普通にしなきゃ"って思うよりも、

今、りりちゃんが思っていることをそのまま伝えたら、きっと分かってくれると思うわ」


そっか…


思ってることをそのまま、玲音に伝える…


きっと、玲音なら聞いてくれる。



そう思うと、ちょっと気持ちが楽になった。



「羨ましいわ~、そういう恋する気持ち♪」



明るく笑ったおばさんにポツリと呟く。



「私はこんな気持ち、苦しくてなんだかイヤ…」



「それだけ相手の男の子のことが好きなのよ。

一度会ってみたいわ、りりちゃんが好きになった男の子に。

それにしても、りりちゃんに好きな子ができたなんて知ったら、玲音泣いちゃうわね。

また妙な方向に走らないといいけど……」


突然、玲音の名前が出てきて飛び上がった。


「今度、その子の写真見せてね?」


そう言ったおばさんに曖昧な笑顔を返した。



帰り際、

おばさんが少しだけ淋しそうな顔をしていたことには気がつかなかった。





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