幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
しばらく無言のまま歩道のコンクリートを見つめていた畠山が、
顔を曇らせて低い声をだした。
「もし吉川先輩と同棲してること学校にバラすって言ったら、
私とつきあってくれますか?
吉川先輩が退学にならないように協力するって言ったら
私にキス…してくれますか?」
「……は?」
あんぐりと口を開けて畠山を見つめる。
「……お前、自分がなに言ってるか分かってる?
ものすごくむちゃくちゃなこと言ってるんだけど。
なに考えてんの?」
「だって、どうしても私の気持ちが吉川先輩に負けてるとは思えないから…」
唇を噛みしめて瞳を尖らせた畠山をチラリと見つめる。
「別にいいけどさ、気持ちのないキスされて嬉しい?
キスしたからって俺、情が移ったりもしないけど」
「吉川先輩ばっかりずるいです…」
絞り出すようにそう言った畠山の顔をじっと見つめる。
思い詰めた顔をしている畠山の両肩をつかむと、
畠山の細い体をゆっくりと自分に引き寄せた。
目を丸くして驚いている畠山に小さく微笑んで、顔を近づけた。