みんなの冷蔵庫(仮)2
冷蔵庫の中へ
ちよみが二人の金髪と共に消えてしまった。

あの顔を見たら――
私には引き止める言葉を口にすることはできなかった。

どんな罪を背負うことになったとしても、彼を愛してしまっていることが分かった。

ちよみを責めるつもりはない。

けれど、この喪失感は何だろう。
私の中の全てが無重力状態になってしまったように、あるべき場所にあるべき感情がないような。

体内は虚無感でいっぱいで、ただ喉からは嗚咽が溢れてきた。


ああ。

そうだ。

さっきの彼の言葉が胸にめり込み、毒のように体中を駆け巡る。

いきなり抱きついてきて耳元で囁かれたあの言葉が、今更私を貫く。


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