【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
こんな日がずっと続けば良い。

ずっと続けば良いのに。

そんな願いが無謀なことくらい分かっている。

露李とて伊達に巫女の里で暮らしてきたわけではない。

風花姫に封印の力が充分でなければ、花霞に取り込まれる可能性だってある。

現に何代か前の風花姫が取り込まれているのだ。

幸せだからと言って安易に警戒を解くなど愚かなことでしかない。

明らかに増していく頭痛に耐えきれなくなるのは時間の問題だ、と露李は笑みを崩さずに悟った。


「どうした?」


疾風が顔を覗き込んでいた。


「何か感じたのか?」


結の心配そうな瞳に、本当のことが言えない。


「う、ううん!何でもありません!ただ、ほらチョコが美味しいなって!」


「俯いたかと思えば食べ物かよ。幸せな頭の構造してんな」


呆れたように言う疾風にカチンときたのは仕方がないことにして欲しい。

なぜなら。


「疾風にそんなこと言われる筋合いないんだけど!」


「はあ?何でだよ」


「全く授業聞いてないし!」


「それなら理津もだろ」


「てめぇ…お前と一緒にすんな」

間髪入れずに露李が頷く。

本好きなだけあって理津はそれなりに頭が良い。


「本当に反り合わないよねぇ、理津と疾風は。幼馴染みの定義が罵り合ってても当てはまるなら変える必要があ
りそうだよねえ」


「ずっとこんな感じなんですか?」


二人でトゲトゲと言い合っているのを眺めながら先輩二人に訊ねる。


「あー、そうだな。二人で本気で鬼ごっこして、疾風が木ぶっ倒して理津を足止めしたかと思えば理津が疾風に幻見せたり…まー激しかったな」


「山が崩れそうになったから、頭領に叱られましたよね」


鬼ごっこってそんな壮大かつ危険な遊びだったっけ。

うーんと首を捻っていると文月が思い出したかのように結を見た。


「結はよく入れてもらえないからって拗ねてたよねぇ」


「なっ、バカ!俺はその、気遣いというものをだな!」


結が真っ赤になるが、文月はにこにこと笑顔のままだ。
何せ人が悪い黒い笑みを浮かべている。

次に何が来るのか待ち構える。


「結はねー疾風追いかけて風吹かせまくって転んでね。毎日のように泣いてたよ」


「文月ぃぃ!」



またしても笑いが弾けた。



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