【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく



──神影家。


力は弱いが長い年月の間に姿を変え、その土地を牛耳る大きな家となった。

露李自身そこで育ち、あまり楽しくない幼少期を過ごした。

ふと、露李の心に再び疑念が浮かんだ。


神影家の人間は、鬼の血が流れていると言えども力は弱く人間同然。

水無月そして朱音もそう語った。

露李が見る限り特に長寿というわけでもない。

年老いたものも多く、平均年齢で死に絶えた。

また、際立って美しい者もいなかった。

水無月や守護者たちから聞くところによると、鬼や妖は力が強いほど美しいという。


なのに──。


露李の知るところでは、その条件のどれにも当てはまらない男がいた。

ずっと同じ容姿であるが、美しくはない。


それが何を意味するのか。


「どうした」


いつの間にか近くに来ていた結の声でハッとする。

疾風と理津の言い合いも既に収束して、皆が露李を見ていた。


「あ、いえ、何でも。ちょっと考え事してただけで」


「考え事~?」


結が怪訝そうに首を傾げた。

はい、と曖昧に笑う。


「やだ、そんな見ないで下さいよ。ほんと大したことないので!」


明るい声を出すと、渋々といった面持ちで引き下がる。

少し安心すると、襖を開けて海松と水無月が入って来た。

水無月はもうほとんど疲れはとれたようで、すっきりした顔をしている。


「兄様!大丈夫?」

駆け寄って訊ねると、


「うん。ありがとう」


そう言って優しく笑ってくれた。

露李も笑顔を返し、海松に向き直り礼を言う。


「ありがとう海松ちゃん」


「いいえ。お役に立てて良かったです」


ほんわかとした空気の中、結の視線を背中に感じていた。


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