君に届かない。
大和は辛そうに少し顔をしかめ、直ぐに笑顔を作って頷いた。



「うん……分かった。優しいんだね、君」

「ありがとうございます。………普通のことですよ」



(本当に普通のこと。ただ自分を守っただけ。)




「じゃあ、俺はもう行くよ。教えてくれてありがとう」

「はい、こちらこそ聞いてくださってありがとうございました」




最後まで手を抜かず、深く深くお辞儀をする。

でもこれは泉の演技ではない。実るはずだった大和の恋を邪魔してしまったことに対する、自分勝手な謝罪だ。




「……ごめんなさい」




(それでも私は、例え大好きな人を苦しめたとしてもあの子に勝ちたいの。)
< 12 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop