黄昏を往く君は
「――戦争が、終わった」
碧が云った。
私は即座に信じられなかった。
碧の言葉が信じられなかったのではない。
そんなことは、少なくとも私が生きているうちには、あり得ないと思っていたから。
それでも、なんとか言葉を絞り出した。
「嘘だ。そんな――」
「事実だ。今連絡が入った」
碧は無線機を掲げてみせる。
「昨日休戦協定が結ばれた。実質的な終戦だ。何年も前から水面下で交渉が進められていた。両国は互いにギリギリだった。分かっていたるだろう? 武器は錆びたサーベル。前線には訓練もまともに受けていない少年ばかり。限界だった。君たちの進撃が最後の交戦となった」