黄昏を往く君は


 私は拳銃を取り落した。
「……なんで、祖国は、勝利を、あの子たちは――、あの子たちの死は、無駄だった……?」
「自分を責めるな、茜。君のせいじゃない」
「私が隊列を組ませた、武器を持たせた、突撃命令を出した、走らせた、死なせた――」
 足が震え、私は膝を突く。
 碧が駆け寄って来て、私を支える。
 ぎゅっと抱きしめる。
 温もりに包まれ、私は彼の逞しさに安堵する。
 凍えた吐息を吐き出す。



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