黄昏を往く君は


 碧が私の髪を撫でる。
 それから、彼らしい、にやりとした笑みを浮かべる。
「君を助けた理由だけど、あれは嘘なんだ。本当は君に一目ぼれしたんだよ!」
 云うが早いか、碧はすばやく距離を詰めると、私に口づけを与えた。
 彼の指先が私の頬をかすめていく。
 私から離れて、碧は満面の笑みをたたえた。 
「グッドラック! 昼と夜の境界、深遠なる黄昏、その申し子よ。その前途に光あれ!」
 私たちは互いに背を向ける。
 往くべき方を見つめる。
 優しい風が吹いている。私は夜明けのきざしを感じている。
 それぞれの場所へ、風は流れていく。


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