brass band
『あ、あとこれ、一応もっといて。多分説明してもらえるよ!』
 そして、なんだかよくわからない金属を渡された。
 重くて、ワイングラスみたいな変な形をしている金属。これは楽器なのか、吹奏楽部ってそもそもなんなのか。全く分からない。
 それから暫くして、『担当の人』という女の人が来た。
『さとくんの妹ちゃん?』
 私の兄はさとくん?
 いや、違う。
『…………………?』
『渡瀬智くんの妹ちゃん?』
 あ、そうだ。
『は、はははははい!!!』
 年上に話しかけられるだなんて経験、私にはなかったためか、美人なお姉さんを見ては、動揺していた。(さっきまで、私の相手をしていた女の人もなかなか美人だったが、気が動転していてそれどころではなかった)
 私は一体どこの親父なのだろう。
 軽く自分を嫌った。 
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