0の可能性
ゆかりが気に食わない顔をしていると、小野先輩がトンっと肘でゆかりの横腹をつついた。
そして小声で「あんたまさか九条さんのことを来客って言ったんじゃないでしょうね?」とつぶやいた。
「そうですけど……??」
そう答えたゆかりに信じられないというような顔を向けて、“九条さん”のほうに慌てて向き直した。
「社長第一秘書の小野でございます。楠木が大変失礼致しました。楠木…!」
「……はい?」
あなたも謝りなさいと言うように名前を呼ばれたが、自分がなぜ悪いのか理解出来なくてムッとしていると、その場を見ていた“九条さん”がクツクツと喉を鳴らして笑った。