0の可能性
「ご褒美」
自分にそう言い聞かせるようにつぶやき、ワインの香りを楽しむゆかり。
早く帰って正解ね。あんのメールめ…私を帰らせる気がなかったわね…
でも、明日の朝に仕事をまわしてしまった…辛すぎる。
「あれ??なんかもう酔ってる?どうしよマスター」
「ソレそんなに強くないと思うけどね…ゆかりちゃんはお酒好きなのに飲めないからな…」
そう、ゆかりは飲めない。
飲めるけど2杯目からは完全におちる。
つまり、お酒に弱いのだ。
「まだ大丈夫。それよりあの人」
そう言って、テーブル席で社員とお酒を飲んでいる九条さんを見て言う。
「出来た人でしょ、九条さん」
「うん。あんな人だとは思わなかったです」