0の可能性
「“あんな”って?」
それは…1日中話しかけてくるし、めんどくさい仕事は私に回してくるし、1日3回はビビらせてくるし…
「何か、意識高い伯爵って感じ…」
グラスの中で揺れる紫の液体を見ていたらそんなおかしい考えが出てきた。
「ははっ、それあたしも最初思ったわ」
豪快に笑って思い出すように言葉を繋げる小野先輩。さらりと流したけど、ちょっと私のこと馬鹿にしてません??
「ゆかりは、真面目よね」
「そんなんじゃ無いですよ」
「真面目よ!
あなたが入ってきた年、生意気な新入社員ばっかりだったから、私の下にも面倒なの来たどうしよーって心配してたのよ?」
まぁ、先輩が嫌がるのも今ならわかる。毎年恒例の新入社員選抜は物凄く時間がかかるし。